事故直後の東京電力福島第1原発で高濃度汚染水がたまる現場での作業を強いられ、無用の被曝(ひばく)をしたとして、元作業員の男性が東電と電気工事会社2社に計110万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は16日、東電に33万円の支払いを命じた1審福島地裁いわき支部判決を支持し、原告と東電双方の控訴を棄却した。
東電は「原告が作業で感じた不安は、原子力損害賠償法上の損害には当たらない」と主張したが、上田哲裁判長は「健康を害するとの強い不安や恐怖を覚え、低線量であっても被曝し精神的苦痛を受けた」と損害を認定。ただ、被曝による健康リスクの増大を理由とする慰謝料の増額は認めなかった。
判決によると、男性は平成23年3月24日に3号機タービン建屋地下で電源ケーブルの設置作業に加わり、10・8ミリシーベルトの外部被曝、5・8ミリシーベルトの内部被曝をした。【産経新聞】