日本原子力発電による敦賀原子力発電所(福井県敦賀市)の地質データ書き換え問題で、原子力規制委員会は15日、同社本店(東京・台東)への立ち入り検査を終えた。検査を指揮した原子力規制庁の古金谷敏之検査監督総括課長は15日の検査終了後、「原因分析の土台となる経緯や意思決定の過程にまだ不明確なところがある」と述べ、原電に根本的な原因分析に向けた計画の提出を求める姿勢を示した。
14、15日の立ち入り検査では、データを無断で書き換えた経緯の記録などを確認し、関係者に聴取した。原電は「特定の意図を持って変えた事実は確認できなかった」などとしているが、書き換えの経緯を把握するために十分な資料がなかったという。
原電の剱田裕史副社長は「根本原因分析をきちんとやってしっかりと対策をとりたい」と話し、年明けに計画を提出する方針を示した。敦賀原発を巡っては、敷地内を通る断層に関するデータを原電が無断で修正していたことが2月に判明し、再稼働の前提になる安全審査が一時中断した。
10月に安全審査の再開は決まったが、規制委は同社が示した原因分析に不十分な点があるとして、書き換えの経緯や管理体制などについて、検査する方針を示していた。【日本経済新聞】