原子力規制委員会は11日の定例会合で、リサイクル燃料貯蔵(RFS)の使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森県むつ市)が新規制基準に適合していると認める「審査書」を委員5人の全会一致で決定した。原発の敷地外の保管場所としては国内唯一となる。
中間貯蔵事業は、使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムを使う核燃料サイクル政策の一環。原発で使い終えた燃料を専用の金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」方式で一時保管する。2010年8月に着工し、14年1月に安全審査を申請した。
RFSは東京電力が80%、日本原子力発電が20%を出資する企業で、2社の原発で発生した計5000トンを最長50年間保管する。
当初、使用済み燃料は日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)とは別に新設される工場に運ぶ想定だった。しかし、新設構想は具体化しておらず、搬出先は決まっていない。50年が経過した場合、燃料は東電と原電に返還する。
定例会合で規制委の担当者は、保管期間が終了する10年程度前から燃料が搬出されるかどうか確認する考えを示した。
更田豊志委員長は会合後の記者会見で「金属容器の耐用年数を考えると、約10年前の時点で(搬出の)動きが全く見えないようであれば、RFSに状況を聞くことになる」と述べた。
RFSは21年度の事業開始を目指している。取材に応じた赤坂吉英常務は「変更する考えはない」としつつ、安全対策工事の詳細設計の審査が終了した時点で見極める方針を示した。
燃料の搬出先については「期限にこだわらず、可能ならば搬出する。50年後には東電と原電に返還する契約で、期間を見て両社と協議する」と話した。
審査書で耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)は最大加速度620ガル、津波の高さは青森県の想定の2倍に当たる23メートルと設定した。【河北新報】