東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、宮城県議会は22日の本会議で、女川町商工会が提出した早期再稼働を求める請願を賛成多数で採択した。東日本大震災で被災した原発の再稼働を県議会が了承するのは初めて。再稼働の前提となる「地元同意」を最終判断する村井嘉浩知事は、これまで県議会の結論を最重視すると繰り返しており、容認は決定的。立地2市町長との協議を経て、早ければ11月中にも地元同意が成立する。
22日の本会議には賛成、反対双方の請願が上程された。議長と棄権2人を除いた54人による起立採決の結果、賛成請願を賛成35、反対19で採択した。反対請願は賛成19、反対35だった。
採択に先立ち、再稼働に反対する議員が「少数意見の留保」のため登壇。討論では自民党・県民会議と公明党県議団の各1人が再稼働容認を、みやぎ県民の声と共産党県議団の各1人が反対を訴えた。
本会議終了後、村井知事は11月9日に予定する市町村長会議で、首長から意見を求めると説明。会議後、既に議会が賛成陳情を採択した須田善明女川町長、亀山紘石巻市長との協議を経て、自らの意思を表明する見通しを示した。
村井知事は「大きな節目を迎えた。議会の判断を重く受け止める」と言及。「まだ意思を決めたわけではない。いろんな思いはあるが、現時点でコメントは控えたい」と述べた。表明時期は、市町村長会議の議論の進展次第だとした。
須田町長は「立地自治体だけでなく、より広い範囲の声を踏まえた最終的な結論。県の考え方を聞いて(同意の可否を)判断したい」と述べた。亀山市長は「さまざまな観点からの議論の結果。可否は総合的に判断する」とコメントした。
女川2号機は2月、原子力規制委員会の審査に合格。安全対策工事が終わる2022年度以降の再稼働を目指す。東北電は「再稼働を求める地元の声を受け止め、引き続き安全性向上に取り組む。丁寧な情報発信に努める」との談話を出した。【河北新報】