九州電力が2024年までに工事完了を予定している玄海原発3号機の使用済み核燃料プールの間隔を詰めて容量を増やす「リラッキング」。東京電力福島第1原発事故があり、国への申請から約10年半が経過した。使用済み核燃料が搬出できず、九電は乾式貯蔵施設と併用する対策を進めているが、リラッキングだけでも今後10年程度は運転が可能になる。
九電が3号機のリラッキングを国に申請したのは2010年2月。許可の直前だったとされる11年3月、福島第1原発事故が発生し、審査が止まった経緯がある。19年1月に容量を変更する補正書を原子力規制委員会に提出していた。
3号機のリラッキングでは、使用済み核燃料を収納する容器(ラックセル)の中心の間隔を36センチから28センチに詰める。素材も中性子を吸収するホウ素を添加したステンレス鋼に変更する。
4号機は建設当初から間隔を詰めている。東北電力女川原発2、3号機(宮城県)や関西電力大飯原発3、4号機(福井県)など、全国の多くの原発が同じような措置を取っている。
リラッキングで、3号機の貯蔵プールは核燃料の貯蔵容量が約1・6倍に増える。九電によると、工事をせず稼働を続けた場合、4~5年で満杯になる計算だったが、計画通りに容量を増やした場合は、さらに5~6年延びるとしている。【佐賀新聞】