関西電力は8月21日、原則40年の運転期間を超えた美浜原発3号機(福井県美浜町)と高浜原発1号機(福井県高浜町)について、早ければ2021年1月ごろと3月ごろに再稼働させるとの工程を明らかにした。関電は安全対策工事の完了を9月に控え「現時点で精査した工程」とする。ただ、杉本達治知事は関電の金品受領問題を巡り「信頼関係がなければ地元として前に進めない」と繰り返し表明しており、原則40年の期間を超えた全国初の運転が事業者の想定通り実現するには高い壁がある。
杉本知事は金品受領問題を巡り3月と6月に森本孝社長と面談。「地元との信頼は地に落ちた」と批判し、法令順守の新しい文化醸成を求め「原発を巡る課題は信頼関係がなければ地元として前に進むことはできない」とくぎを刺した。7月に開かれた経済産業省の総合資源エネルギー調査会分科会でも、国に対し関電への指導監督や原子力に対する国民の信頼回復に責任を果たすよう強く迫った。
この状況下で、7月21日には関電の第三者委員会の調査でも分からなかった子会社元社長らの金品受領が発覚。県は関電からの調査報告を待っている段階で、知事の求める「信頼回復」はさらに遠のいた形だ。
再稼働には原発が立地する町の議会や町長、県議会、知事の同意が必要となる。両原発は原子力規制委員会から40年超運転の許可は既に得ており、来月には安全対策工事が完了する。福島第1原発事故後に再稼働した高浜3、4号機や大飯3、4号機の過去の例をみると、地元の同意判断の局面に移る時期となる。
だが、今回はその兆しすらない。先の再稼働の同意判断の際には、県原子力安全専門委員会を開き、2~3カ月の議論を経て独自に安全性などを細かくチェックした。同委員会の今後の開催時期について、県安全環境部の野路博之部長は「全くの未定」と述べた。【福井新聞】