関西電力は8月21日、原則40年の運転期間を超えた美浜原発3号機(福井県美浜町)と高浜原発1号機(福井県高浜町)について、早ければ2021年1月ごろと3月ごろに再稼働させるとの工程を明らかにした。2基は国の審査で延長運転に必要とされた安全対策工事が9月に完了する見込み。地元自治体の同意を得て再稼働すれば国内初の40年超運転となる。ただ、関電役員らの金品受領問題で地元同意の見通しは立っておらず、計画通り進むかは不透明だ。
再稼働時期の延期は3回目。4月に申請した前回工程では2基とも10月ごろとしていた。2基に関する機器や設備の性能などを規制庁が現地確認する「使用前検査」の変更届に新たな工程を明記し、21日に原子力規制委員会に申請した。
関電によると、今回の変更理由は、今年3月に高浜原発で発生した死亡事故を受け、検査に対応する作業期間に余裕を持たせるなど、工程を精査したため。
再稼働は美浜3号機が約3カ月、高浜1号機が約5カ月延びた。高浜1号機の延期期間が長い理由について関電は「高浜3、4号機の定期検査と実施時期が重なり、1号機の点検作業に従事する作業員の確保が難しいため」としている。
新たな工程では、美浜3号機が12月に燃料装荷、2021年1月に再稼働、同2月に営業運転開始。高浜1号機は同2月に燃料装荷、同3月に再稼働、同4月に営業運転開始としている。
立地自治体の2町長はコメントを発表した。美浜町の戸嶋秀樹町長は「労災などの実情を踏まえ、既存施設の点検も慎重に進めてきたことや、新型コロナウイルス感染対策などの環境の変化がある中で、工程を精査した結果と聞いている。引き続き安全最優先で進めていただきたい」、高浜町の野瀬豊町長も「精査された結果での工程変更だと認識しており、適切な判断であると考える。引き続き発電所の安全確保に努めてほしい」とした。【福井新聞】