関西電力の美浜原子力発電所(福井県美浜町)3号機と高浜原発(同高浜町)1号機の再稼働が2021年以降にずれ込むことが21日分かった。従来は20年秋以降とみられていた。関電は同日、営業運転の再開に必要な検査の工程変更を原子力規制委員会に申請、完了時期を美浜3号機は21年2月ごろ、高浜1号機は同4月ごろと見込む。
これとは別に関電は再稼働までに、福井県などの同意を得る方針。ただ、地元では19年秋に発覚した金品受領問題からの信頼回復が先決との意見が多く、実際の再稼働時期はなお不透明だ。
原発は発電コストが割安で、美浜原発や高浜原発は稼働すれば1基あたり月40億円程度のコスト圧縮を見込める。再稼働時期の後ずれにより、少なくとも計320億円程度の圧縮効果が剥落することになる。
検査は5段階に分かれており、建物や原子炉など全体を総合的に調べる。美浜3号機や高浜1号機は停止期間が長期化しているため、検査により時間をかける必要があると判断した。
原発の運転期間は原則40年で、最長20年の延長が認められる。高浜1号機と美浜3号機は16年に運転延長の審査に合格、再稼働に向けた安全対策工事が9月に完了する予定だ。同じく延長が認められた高浜2号機でも21年4月の工事完了を計画している。【日本経済新聞】