関西電力の森本孝社長は9日、11人の死傷者を出した美浜原子力発電所(福井県美浜町)3号機の蒸気噴出事故から16年を迎えた追悼式に出席した。「すべての事業活動について安全を最優先にする」と誓った。式典後に報道陣に対し、同3号機の再稼働について「工程ありきで考えていない」と述べ、再稼働の時期が未定であることを強調した。
3号機は40年を超えて運転するための安全対策工事を9月にも終える。再稼働には地元自治体の同意が必要で「(打診の)話ができるように、(金品受領問題の)信頼回復に努めることが最優先だ」と話した。業務改善計画の進捗状況に加え、「安全や感染症対策への取り組みを地元の方々に丁寧に説明していきたい」と述べた。
原子力発電については「資源の乏しい日本にとって、当面は重要なエネルギー源だ」と強調。「息の長い活用」を前提に、「技術者を失わないようにするために、しっかり取り組んでいきたい」と話した。
関電が2020年中に福井県外で候補地を選ぶとしている使用済み核燃料の中間貯蔵施設については、「最優先課題の一つとして、一生懸命に取り組んでいる」と述べるにとどめた。【日本経済新聞】