国の原子力防災会議が開かれ、東北電力女川原発の重大事故を想定した住民の避難計画が了承されました。原発の避難計画に感染症対策が初めて盛り込まれました。 安倍首相が議長を務める原子力防災会議は、6月22日朝、テレビ会議で行われました。 会議では女川地域原子力防災協議会が取りまとめた、原発から半径30キロ圏内の7つの市と町に暮らす19万9000人を対象とした住民の避難計画を報告。 このほか、新型コロナウイルスなど感染症の流行時における原発事故を想定し、感染者とそれ以外の人が別々の車両で避難したり、避難所を分けたりするなどの感染対策も示され了承されました。 安倍首相 「今回の緊急時対応には今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、避難にあたっては密集を避け、極力分散を図るなど、被ばく防護措置と感染防止対策の両立も図っていきます」 今年2月、原子力規制委員会の審査に正式合格した女川原発2号機。 再稼働には地元の同意が必要とされ、今回の避難計画の了承は地元の判断材料の1つとなります。 事実上の再稼働手続きの一環である、今回の避難計画の了承に、県や原発が立地する石巻市と女川町のトップはー。 宮城県 村井 知事 「これで完全なものと我々は思っていない。さらに訓練を積み重ねながら問題点を洗い出し、手直しをする必要があると思う」 石巻市 亀山紘 市長 「私どもとしては引き続き避難計画・防災計画については実効性を高めていくということが必要だというふうに思っております」 女川町 須田善明 町長 「これができたからいいということでなくて、もし発生した場合にちゃんと機能していくことが大切」 一方、県が行ったシミュレーションでは、原発から30キロ圏内の住民が一斉に避難を始めると渋滞が発生し、5キロ圏内に暮らす住民のほとんどが避難先に到着するまで、5日以上かかることがわかっています。 避難計画の実効性については市民からも疑問の声があり、国や東北電力には今後、具体的な説明が求められます。【仙台放送】