東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機の再稼働について、宮城県石巻市の市民団体が県と市に同意しないよう仮処分を申し立てている訴訟で、県と市側は女川2号機の安全対策工事の完了が2年延期されたことについて「(地元同意への)影響はない」と言及した。
仮処分訴訟の第5回審尋が仙台地裁で非公開で開かれ、原告側弁護団が県と市側とのやり取りを審尋後の会見で明かした。原告側の小野寺信一弁護士は「債務者(県・市)は工事とは関係なく(再稼働手続きを)進めるとのことだった」と話した。
東北電力は4月、女川原発2号機の安全対策工事の工程変更に伴い、工事の完了時期を2020年度から22年度へ延期した。再稼働時期も22年度以降にずれ込み、地元同意を巡る県や市側の対応が焦点となっていた。
県が21日に発表した女川原発事故時の試算では、女川原発から30キロ圏の住民の4割が指示に基づかず避難した場合、同5キロ圏の住民の避難完了に約9倍の時間がかかることが明らかになった。原告側弁護団によると、県と市側は試算を受けて「随時、計画を見直していく」と話したという。
市民団体は19年11月、石巻市の避難計画には実効性がないとして県と市に再稼働に同意しないよう仮処分を申し立てた。再稼働には県や市などの立地自治体による国や東北電に対する同意が必要となる。次回の審尋は6月16日を予定する。【日本経済新聞】