福島第一原発事故の除染で出た土の再生利用に向けて、環境省は法令を改正し工事や管理の基準を設ける方針でしたが、パブリックコメントに2800件を超える意見が寄せられ「時期尚早だ」といった指摘が相次いだことなどから改正を見送ることになりました。
環境省は原発事故の除染で出た土のうち放射性物質の濃度が、一定の基準を下回ったものを全国の公共工事などで再生利用する方針で、福島県飯舘村の長泥地区では、農地として利用する実証事業を行っています。
実証事業では、これまでのところ安全性に問題は出ていないとして、放射性物質汚染対処特別措置法の施行規則を改正し、再生利用を行った場所では定期的に放射線量を測定するなど、工事や管理の基準を設ける省令を来月1日付けで施行する方針でした。
その案を示して国民の意見を広く募るパブリックコメントを行ったところ、先月7日までの1か月間で2854件の意見が寄せられたということです。
意見の中には「説明が足りない。もっと国民的議論が必要だ」とか「実証事業が不十分で時期尚早だ」という指摘のほか、農作物への風評被害を懸念する声もありました。
環境省は「安全性については確認されているが、丁寧な説明を続けていく必要がある」などとして改正を見送ることになりました。
環境省によりますと、パブリックコメントを行ったうえで方針を見直すのは異例で、今後、専門家を交えて対応を検討するとしています。
【NHK】