経済産業省は十六日、役員らの金品受領問題が発覚した関西電力に対し、電気事業法に基づく業務改善命令を出した。電力供給という重要インフラを担う会社として経営体制に問題があり、徹底した企業体質の見直しが必要と判断した。経産省が大手電力会社に対し、同法に基づいて業務改善を命じるのは初めて。
関電は三月末までに業務改善計画を提出し、六月末までに実行状況などを報告する必要がある。
資源エネルギー庁の高橋泰三長官が関電の森本孝社長を呼び、対応を指示。法令順守体制の再構築や工事の発注・契約ルールの明確化のほか、指名委員会等設置会社への移行も含めた外部人材活用による企業統治体制の構築を求めた。
森本社長は、経産省で記者団に「真摯(しんし)に受け止めて改革を実行し、皆さまの信頼を回復できるよう全力を尽くす」と強調した。
問題を調査した関電の第三者委員会は十四日、原発が立地する福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)からの金品受領者は七十五人、総額約三億六千万円相当に上るとの報告書を公表した。森山氏の要求に応じて工事を発注するなど、関電による便宜供与があったと認定。一九八七年から続く不祥事を断ち切れなかった経営陣の姿勢を批判し、外部からの会長起用などを提言した。
問題に関わった関電の岩根茂樹前社長は十四日付で引責辞任。関電は再発防止策を検討する「経営刷新本部」を設置し、六月末をめどに再発防止策を取りまとめると表明している。
<関電金品受領問題> 関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町の建設会社が国税当局の税務調査を受けたのを機に発覚した。関電役員らが高浜町の元助役森山栄治氏(故人)やその関係会社から小判や金貨、スーツの仕立券など多額の金品を受領。総額1億円相当を超える役員もいた。経営陣は公表しない方針だったが、昨年9月の報道で表面化。関電は昨年10月、八木誠会長が辞任し、第三者委員会を設置した。【東京新聞】