原子力規制委員会は21日、東北電力が再稼働を目指す女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)について、新規制基準への適合を認める「審査書」を26日の定例会合で議論することを明らかにした。審査書が決定されれば、再稼働の前提となる審査に正式合格することになる。
東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新基準に合格するのは東北の原発で初めて。東日本大震災の地震や津波で被災した原発では、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)に続き2基目となる。
東北電は安全対策工事を終える2020年度以降の再稼働を目指すが、地元自治体の同意や重大事故を想定した広域避難計画の実効性などが焦点となっており、工程通りに進むかどうかは不透明だ。
東北電は13年12月に女川2号機の審査を申請。被災原発として固有の課題が多く、議論は長期化した。176回に上る審査会合を要して19年11月に審査書案が了承され、事実上「合格」となっていた。
安全対策工事費は3400億円程度に膨らんでいる。
規制委は19年11~12月に意見公募(パブリックコメント)を実施しており、更田豊志委員長は今月19日の定例記者会見で、近く定例会合の議題となる見通しを示していた。
これまでに再稼働した5原発9基は「加圧水型炉」。女川2号機と同じ「沸騰水型炉」は東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)、東海第2原発とも合格後の手続きが進んでおらず、今後の推移次第で女川2号機が先んじる可能性もある。【河北新報】