政府は十七日、官邸で原子力災害対策本部会議を開き、東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域のうち、双葉、大熊、富岡三町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)内にある一部地域の避難指示の先行解除を正式決定した。双葉町は避難指示解除準備区域も併せて解除される。解除日時は双葉町が三月四日午前零時、大熊町が三月五日午前零時、富岡町が三月十日午前六時。帰還困難区域の一部解除は初めて。
避難指示が解除されるのは、双葉町が復興拠点内のJR双葉駅東側一帯と鉄道施設区域、町北東部の避難指示解除準備区域、駅と避難指示解除準備区域を結ぶ町道で、計約二百四十ヘクタール。
大熊町はJR大野駅東西口広場や県立大野病院敷地を合わせた約四・二ヘクタールと大野駅から大川原地区までを結ぶ町道(一部県道)約二・三キロ。駅舎や線路を含め計約二十八ヘクタール。
富岡町はJR夜ノ森駅につながる県道と町道合わせて約千百三十メートル区間と鉄道施設区域、駅前駐車場で、夜の森地区の桜並木約五百メートルが含まれる。
JR常磐線の線路や駅舎などの鉄道施設にかかる避難指示の解除が決まり、全線開通に向けた環境が整った。
本部長の安倍晋三首相は会議で「復興は新たなステージに入る。次は特定復興再生拠点の避難指示解除に向けて除染やインフラ、生活環境の整備など地元の皆さんと協力しながら政府一丸となって着実に進めていく考えだ」と述べた。
■復興加速へ決意 3町長、先行解除決定受け
双葉、大熊、富岡三町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)内にある一部地域の先行解除の正式決定を受け、三町長は復興を加速させる決意を口にした。
双葉町の伊沢史朗町長は「次のステップとなる二〇二二(令和四)年春ごろの復興拠点全域の避難指示解除の目標に向け、全力で取り組む。町民の生活支援などの継続、復興拠点外の帰還困難区域の除染やインフラ復旧も国に強く要望していく」と語った。
大熊町の吉田淳町長は「大野駅周辺の解除は下野上、野上地区の立ち入り規制緩和とともに町の復興に向けて重要な節目となる。これをスタートラインに復興拠点の全八百六十ヘクタールを着実に除染・避難指示解除すべく、国と共に進めていきたい」と話した。
富岡町の宮本皓一町長は「今回の先行解除は、将来の復興拠点全体の避難指示解除の足掛かりになる。夜の森地区の桜並木が新たに約五百メートル解除になるので、より多くの人に桜を楽しんでもらえる」と期待した。【福島民報】