関西電力側が1996年9月に福井県美浜町で着工した原発関連施設の工事を巡り、同県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)がゼネコンの熊谷組に受注させるよう当時の関電幹部をどう喝し、関電側が競合相手の大林組を説得、落札を断念させていたことが7日、共同通信が入手した森山氏と幹部との電話を録音した音声、幹部の業務日誌で分かった。
森山元助役とゼネコンの関係が初めて判明
関電子会社「原子力安全システム研究所」の新研究所建設工事で15億円規模。熊谷組が指名競争入札で落札した。森山氏とゼネコンの関係が判明したのは初めて。熊谷組は福井県発祥で、森山氏に受注に向けた協力を依頼していた。ゼネコンが絡む大規模工事でも森山氏の関与がなかったか、関電の第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)が解明すべき課題となりそうだ。
発注者側が事前の受注調整に関われば独禁法違反(私的独占)の疑いがあるが、時効が既に成立している。
日誌によると、96年7月30日、関電幹部は新研究所工事に関心を示していた森山氏に電話し、複数社の指名競争入札になったと伝えると、森山氏は「熊谷に取らせろ」と要求。翌日、幹部は熊谷組の担当者に電話し、発注者は介入できないと説明した。担当者は「確かにM氏(森山氏)に依頼をしている」と認め「指名に入れてもらえれば後は営業の仕事」と関電の介入は求めないとした。