東京電力は、福島第一原子力発電所で進めている高さ120メートルの排気筒の解体について、トラブルが相次いだことから、来年3月末までに終えるとしていた完了時期を延ばし、来年5月上旬ごろとする方針を固めました。東京電力は原子力規制委員会に報告したうえで、今月中の切断再開を目指す考えです。
福島第一原発の1号機と2号機の共用の排気筒は事故の際、放射性物質を含む気体が放出され内部が汚染されているほか、水素爆発などの影響で鉄骨にひびも見つかっています。
東京電力は高さが120メートルあるこの排気筒が倒壊するリスクを減らすため、半分の60メートル前後まで解体して低くする計画です。
このため遠隔で操作ができる専用の切断装置を開発し、ことし8月から切断を始めましたが、刃の摩耗が速かったり、抜けなくなったりするなど、トラブルが相次ぎ、これまでに解体したのは9メートルほどにとどまっています。
東京電力は作業を中断し、計画の再検討を行った結果、残りの解体を来年3月末までに終えることは難しいと判断し、完了時期を1か月余り延ばし、来年5月上旬ごろとする方針を固めました。
ただし天候の影響や作業の習熟の度合いなどで完了時期は前後する可能性があるとしています。
東京電力は、切断方法や作業手順の改善策をまとめ、原子力規制委員会の会合に報告する予定で、準備が整えば今月中の切断再開を目指す考えです。【NHK】