関西電力の役員らによる金品受領問題。15日大阪市内で記者会見を開いた社外弁護士による第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)は、最終報告の時期について「現時点で約束はできない」とした。年内取りまとめを要望していた関電としては、社長人事や原発再稼働を抱えるだけに調査の長期化に頭を悩ましている。
【関西電力第三者委員会会見】会見を行う(左から)久保井一匡特別顧問、奈良道博委員、但木敬一委員長、貝阿彌誠委員。(一番右は司会者)=15日午後、大阪市北区の関西電力本店(須谷友郁撮影)
【関西電力第三者委員会会見】会見を行う(左から)久保井一匡特別顧問、奈良道博委員、但木敬一委員長、貝阿彌誠委員。(一番右は司会者)=15日午後、大阪市北区の関西電力本店(須谷友郁撮影)
年内の調査報告書の取りまとめを求めていた関電にとっては、最終報告の時期は今後の経営に直結する問題だ。社長人事や原発再稼働が控え、年度末までずれこめば通期決算や来年6月の株主総会にも影響しかねないからだ。
最終報告をもって岩根茂樹社長が辞任するが、新社長を選ぶには取締役会の承認が必要。最終報告の出た日に開催できなければ、一時的にとはいえ社長不在の空白期間が生まれかねない。
新社長就任までの空白期間を短くしたい関電は今月8日、役員人事を諮問する委員会を開催。社内取締役の6人を後任候補者案として提示した。社長人事は取締役の互選で決められる仕組みで、取締役でない社外人材や若手を抜擢するには株主総会で取締役に選出しないといけないため「現実的でない」(関係者)との考え方だ。
ただ、報告前に人選を進めることに関係者は「もし新社長に何かあったら取り返しがつかない」と懸念。経産省関係者も「万が一のことがあれば再考は当然」とくぎを刺す。
メーカー
来年には高浜1号機など原発2基の再稼働を控えるが、立地自治体の高浜町も第三者委員会を設置し、報告書は来年3月にまとめる見通しだ。関電幹部は「これまでより難しくなったのは事実だが、(当初予定を)目指しているのは変わらない」と予防線を張るが、再稼働には地元同意が不可欠。世論の反応を気にする経産省幹部は「スケジュールありきで無理をしない方が良い」と牽制(けんせい)する。
問題長期化で経済界にも「関電離れ」の動きが出てきた。保険会社などの機関投資家が敬遠し、関電は資金調達の手段である社債について今年9月以降、発行を見送っている。一方、昨秋から太陽光発電に絡むサービスで関電と協業している京セラの関係者は「関電の問題を受けて十分な営業活動ができず、戦略が狂っている。大迷惑だ」といらだちを隠さない。【産経新聞】