プルサーマル発電をしてきた四国電力伊方原発3号機(愛媛県)と関西電力高浜3号機(福井県)で、使い終わったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が取り出されることになった。伊方は十二月下旬、高浜は来年一月上旬に始める定期検査で原子炉から出す。プルサーマルで使用済みMOX燃料の取り出しは初。両社が三十日までに明らかにした。
政府や電力会社は、使用済みのウラン燃料を化学的に処理(再処理)し、プルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」の一環として、普通の原発でMOX燃料を燃やすプルサーマルを進めている。使用済みMOX燃料も再利用する構想だが、再処理できる施設がなく行き先は未定のため、原発で長期保管される可能性が高い。
九州電力玄海3号機(佐賀県)でも、来年八月上旬を予定する定期検査で使用済みMOX燃料を取り出す可能性がある。
伊方3号機は二〇一〇年にMOX燃料十六体を使い始めた。来年四月までの定期検査で十六体を取り出す。高浜3号機は一一年に開始。現在二十八体を使っており、うち八体を使用済みMOX燃料として取り出す。四国電と関電は「当面、原発内のプールで保管する」としている。
使用済みのMOX燃料は発熱量が大きいなどの特徴がある。ウラン燃料の再処理工場は日本原燃が青森県に建設中だが、MOX燃料は対象ではない。国内での再処理には別の工場新設が必要だが、具体的な計画はない。
玄海3号機は〇九年からMOX燃料を使用。次の定期検査で炉心にある三十六体のうち十六体を取り出す可能性がある。
高浜4号機もプルサーマルを実施中。電力業界は全国十六~十八基でプルサーマル導入を目指していたが、現在導入済みは四基。
<核燃料サイクル> 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理(再処理)で抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する方法。燃料の有効利用や高レベル放射性廃棄物の発生量の抑制が目的とされる。政府はMOX燃料を使う高速増殖炉の実用化を目指したが、研究段階の原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり開発は停滞。通常の原発で使うプルサーマル発電を進めている。日本原燃の再処理工場(青森県)も、トラブルや東日本大震災の影響で完成が遅れている。使用中のMOX燃料は、海外に再処理と加工を委託し、輸入された。
【中日新聞】