関西電力の役員らに多額の金品を贈っていた福井県高浜町の森山栄治氏(故人)は1975年~82年の町の収入役、助役時代、当時の町長よりも報酬が高かった。一時は町長を5万円上回るときも。報酬は町長が最も高く、助役、収入役と続くのが一般的。同県嶺南地域の他市町の担当者は「考えられない」と話している。
高浜町の資料によると、森山氏が収入役となって2カ月後の75年12月、収入役の報酬は30万円と一気に6万5千円引き上げられ、町長を5万円、助役を6万円上回った。助役になる3カ月前の77年1月には、町長30万5千円、助役33万5千円、収入役32万4千円以内となり、今度は助役が最も高くなった。
逆転状態が続いたのは、森山氏が収入役、助役を務めた期間のうち、82年10月までの浜田倫三町長の時代。この後、田中通町長になると改定され、町長、助役、収入役の順に戻った。
高浜町議会議事録によると79年9月、ただされた浜田町長は給与について「警察では、巡査が高く署長が安いということもある。その人の能力に応じて支払われる」と答弁している。
81年時点で嶺南の助役の報酬を比較すると、高浜町は敦賀市の50万円に次ぐ49万円。小浜市より2万円、美浜町、旧三方町(現若狭町)、旧上中町(同)、旧大飯町(現おおい町)に比べ10万円前後高かった。嶺南のある自治体の担当者は「普通は人事院勧告に伴って報酬改定を行うので、少なくとも助役が町長を上回ることはありえない」と話す。
浜田町長は69年、京都府綾部市職員だった森山氏を高浜町職員として招いた。両氏は退任後、関電子会社の顧問を務めた。【福井新聞】