福島県議会は三日、東京電力福島第一原発事故の避難指示区域外からの自主避難者で、住宅の無償提供期間後に契約しないまま東京都の国家公務員宿舎に住み続ける五世帯に対し、県が退去を求めて提訴する議案を賛成多数で可決した。
自主避難者らの団体は三日に都内で記者会見し「被害者側に立つべき県が、加害者の国に代わって避難者を追い出すものだ」と批判した。
福島県は二〇一七年三月末に自主避難者への住宅の無償提供を打ち切った。県外の国家公務員宿舎に避難した世帯のうち、希望者には二年間の期限付きで公務員と同額で貸す契約を結ぶ支援策を実施。県によると五世帯はいわき市などからの避難者で、契約の内容に納得せず県と契約を結ばない状態で、家賃を支払わずに入居を続けている。
県は訴訟で、退去と一七年四月以降の家賃の支払いを求める。
自主避難者を支援する森川清弁護士は記者会見で、提訴される三十代女性の「福島県からの避難生活なのに、その福島県が生活の全てを奪いにくるようで恐ろしい」とのコメントを読み上げた。【東京新聞】