原子力規制委員会は28日、原子力発電所の耐震性を評価する新たな手法を、新規制基準に取り入れることを決めた。これまで存在が知られていない活断層による地震が起きた時の影響を調べる手法で、稼働中の原発の耐震対策に影響する可能性がある。
影響が考えられるのは、すでに再稼働している九州電力川内原発(鹿児島県)や玄海原発(佐賀県)で、耐震対策の前提となる「基準地震動(想定される最大規模の揺れ)」の修正を迫られる可能性がある。両原発とも敷地内に大きな活断層が見つかっていないためで、追加工事が必要になる事態も想定される。
今後、規制委は適用に猶予期間を設けるかどうかといった詳細なルールを詰める。再稼働に向けた安全審査が終盤を迎えた東北電力女川原発(宮城県)での対応も焦点になる。
新規制基準では、未知の活断層による地震にも原発が耐えられるよう、どこでも起きうる地震を想定した基準地震動の計算を電力会社に求めていたが、精度の高い評価手法がなかった。これに対し、新手法は複数の地震データを使っており、揺れの影響を詳細に評価できるという。規制委の検討チームが先月、新手法を盛り込んだ報告書案をまとめていた。【読売新聞】