電気事業連合会の岩根茂樹会長(関西電力社長)は2日、日本経済新聞の取材に対し、大手電力の間で廃炉作業を連携していく方針を明らかにした。廃炉に必要な技術や資材などの共有を進める。東日本大震災以降に廃炉が決まった原発は福島第2原発を含めて21基で再稼働の2倍超に上る。廃炉で膨大な作業が必要なため、大手同士で協力して円滑に進めたい考えだ。
2日、都内でインタビューに応じる電気事業連合会の岩根会長
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2日、都内でインタビューに応じる電気事業連合会の岩根会長
従来、原発は関西電力など西日本に多い加圧水型軽水炉(PWR)と、東京電力など主に東日本の沸騰水型軽水炉(BWR)に分かれて協力してきた。岩根会長は「(今後は)型式にかかわらず、大手電力で廃炉の基盤技術などで連携を深めたい」と語った。
東電は原発事故を起こした福島第1など10基の廃炉を抱える。廃炉完了までに1基30年程度かかるが人手確保など課題は山積している。岩根会長は原発の型式を超えて連携しなければ、廃炉作業は間に合わないとの懸念を示した格好だ。政府が掲げる30年の電源構成の原発比率約2割の目標達成は厳しい状況だが、「迅速に対応していく。絶対無理とは思っていない」と強調した。【日本経済新聞】