東京電力ホールディングスは福島第2原子力発電所の全4基を廃炉にする。月末の取締役会で正式に決める。原発事故を起こした福島第1を除くと、東電が廃炉を決めるのは初めて。東電はこれまで福島第2について廃炉を検討すると表明していたが、具体的な廃炉作業が始まる。
福島第2の廃炉費用は計2700億円以上と見積もられていた。東電の準備金だけでは足りないが、国が廃炉の会計制度を見直し大きな損失を一度に計上しなくてもよくなったことや、専門知識を持つ人手の確保などのめどがついたと判断した。近く福島県の内堀雅雄知事に決定を伝え、東電は月末の取締役会で正式に決める。19年度中に廃止措置計画を原子力規制委員会に提出する方針だ。
原発事故を起こした福島第1と合わせ、福島県内の10基全てが廃炉になる。福島第1と並行し、福島第2の全4基を約40年かけて廃炉にする。東電が持つ原発は柏崎刈羽(新潟県)だけとなる。
福島第2は出力が1基あたり110万キロワットと大型で、約30年にわたり首都圏の電力需要を支えてきた。政府内には再稼働を模索する動きもあったが、地元の強い意向を受けて断念した。
東日本大震災以降、廃炉を決めた原発は福島第2を入れて全国で21基に上り、再稼働した原発の2倍以上になる。15年に関西電力の美浜1、2号機(福井県)や九州電力の玄海1号機(佐賀県)など5基の廃炉が決定。その後も四国電力の伊方1、2号機(愛媛県)や東北電力の女川1号機(宮城県)などの廃炉が決まった。
ただ、30年のエネルギー基本計画で原発比率2割を実現するには30基の再稼働が必要とされる。原発事故以降に9基の原発が再稼働したが、目標には遠く及ばない。
経営再建と福島第1の廃炉・賠償費用の捻出に向けて、柏崎刈羽6、7号機の再稼働を目指すが地元の同意を得るなどのハードルは高い。【日本経済新聞】