九州電力の川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)1号機がテロ対策施設の建設遅れで運転停止を求められる可能性が出ている問題で、池辺和弘社長は26日「対策施設の期限内設置は厳しいようなので、早期完成に向けて最大限努力する」と話した。実際に運転停止になった場合、「安い代替電源の確保など様々な手を打っていきたい」とし、収益への影響を抑える考えを示した。
原子力規制委員会がテロ対策施設の建設が期限に間に合わない場合は運転停止命令を出す方針について、本社(福岡市)で開いた決算会見で、対策施設の工事が「どれぐらい遅れるか、現時点では分からない」と話した。
施設の完成時期を前倒しする具体策として、メーカーや建設会社と協力し、工場で設備を事前に製造して現地に運んで設置したり、土木工事と機械工事を同時進行したりする考えを示した。川内原発の停止について「規制委が決めること」としつつ、実際停止になった場合は「少しでも安い代替電源についてシミュレーションしていく」と話した。
規制委の更田豊志委員長から「工事の見通しが甘い。規制当局の出方にも甘い認識だったのでは」と批判されたことについて「非常に重く受け止めている」とした。
工事が遅れた原因については東日本大震災後、川内原発が最初に再稼働したことを挙げ「自然を相手にし、やってみないと分からない部分があった」と話した。
池辺社長は「危機感を持ったのは12日に規制委から2号機の工事計画認可を得て(川内原発全体の)詳細が確定してからだった」と説明した。
【日本経済新聞】