原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合に、遠隔操作で原子炉の冷却を続ける設備などを備えるテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、原子力規制委員会は4月24日の定例会合で、電力会社に対し、「原発本体の工事計画の認可から5年」の完成期限の延長を認めないことを決めた。再稼働済みの九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は来年3月に期限を迎え、その時点で運転中でも施設が完成していなければ運転停止となる。福井県高浜町の関西電力高浜3号機も期限が迫っている。
関西、四国、九州の電力3社が再稼働済みを含む5原発10基で施設の完成が遅れる見通しを示し、延期を認めるよう要請していた。5原発10基では、川内1号機に続き、同2号機は来年5月、関電高浜3号機(福井県)は同8月に順次期限となり、10基以外の他の原発も期限時点で施設が未完であれば運転停止となる。
特重施設は東京電力福島第1原発事故を踏まえた原発の新規制基準で設置が義務付けられ、完成期限もあるが、3社は17日の規制委との意見交換で1~3年ほど期限を超過する見通しを明らかにした。大規模な土木工事が必要となったことなどが理由という。
24日の会合で、委員は「自然災害などで工事が遅れたのではない」などと指摘し、期限延長の必要性はないと決めた。
その上で、期限を越えた場合は、原発の新規制基準に適合しない状態に陥るため、原子炉を利用できないとする見解を5人の委員でまとめた。
福井県内では高浜1,2,3,4号機と大飯3,4号機、美浜3号機が対象。高浜3号機は2020年8月が設置期限で完成は1年遅れる見通し。高浜4号機は2020年10月、高浜1,2号機は2021年6月、美浜3号機は2021年10月、大飯3,4号機は2022年8月が期限。それぞれ1年から2年半の遅れがでる見通しだ。【福井新聞】