原子力規制委員会は3日、九州電力が提出していた玄海原発3、4号機(佐賀県東松浦郡玄海町)へのテロ対策施設設置申請を許可した。九電は今後、工事計画認可申請し、認可を経て着工する。設置期限は3号機が2022年8月、4号機が同年9月。佐賀県は、専門家に意見聴取した上で九電が出していた事前了解願の可否を判断する。
特定重大事故等対処施設(特重施設)と呼ばれる施設で、航空機衝突などのテロ攻撃を受けて原子炉施設が破壊された場合でも、炉心の冷却を維持し、放射性物質の大量放出を防ぐ機能を備える。事業費見込みは約2400億円。原発本体の工事計画認可後、5年以内の設置が求められている。九電は17年12月に設置許可を申請していた。
規制委は3月、新規制基準に適合しているとする審査結果をとりまとめた。国の原子力委員会と経済産業相への意見聴取を経て、この日、規制委の5人全員が許可申請に賛成、審議は約5分で終了した。特重施設の設置許可は、高浜原発1~4号機(福井県)、川内原発1、2号機(鹿児島県)などに続き4例目。
川内1号機は3分割で工事計画認可申請しており、初回の申請は約1年後に認可された。九電は「玄海が分割申請になるとは限らない」と前置きした上で「期限内に設置できるよう進める」としている。
九電は安全協定に基づき、17年12月に県と東松浦郡玄海町へ事前了解願を提出している。県原子力安全対策課は「まずは国の審査結果を確認する」とし、県の原子力安全専門部会(部会長・工藤和彦九州大名誉教授、7人)など専門家から意見聴取する考えを示した。【佐賀新聞】