関西電力がフランスに再処理を委託した原発の使用済み燃料について、関電が現地で製造されたプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料32体を、来年にも日本に搬送する計画であることがわかった。高浜原発3、4号機(福井県)で燃やし、関電が海外に保有するプルトニウム約11トンのうち約1トン分の削減につなげる。
仏原子力大手オラノ(旧アレバ)の幹部が朝日新聞の取材に明らかにした。
日本政府は昨年7月、日本が国内外に保有するプルトニウムについて、現状の約47トンを超えないよう減らしていく方針を表明。2021年に予定する六ケ所再処理工場(青森県)の稼働で新たにプルトニウムが取り出される前に、ふつうの原発でMOX燃料を使う「プルサーマル発電」を増やす必要に迫られている。
オラノは17年に関電側とMOX燃料32体を作る契約を結んだ。仏北部のラアーグ再処理工場で、日本から運んだ使用済み燃料からプルトニウムを抽出。年内に南部マルクールの施設に運んでMOX燃料を作り始める。20年にも北部シェルブール港から高浜原発に海路で搬送するという。
核燃料サイクルを進めるため、電力会社は70年代から英仏に再処理を委託してきた。プルサーマルは現在、高浜3、4号機のほか九州電力玄海原発3号機、四国電力伊方原発3号機の計4基で行われている。
ただ、最大で年間7トンを見込む六ケ所の再処理分や海外保有分を確実に減らすには、原発16~18基での導入が必要とされる。
核兵器の原料にもなるプルトニウムの保有量が増えれば、国際社会から批判されかねない。政府は昨年以降、特に海外保有分について電力会社間で融通して減らすよう求めている。今後、プルサーマルが進む関西、九州、四国の3電力が、原発が再稼働できずに在庫を抱える東京、中部両電力などの分を肩代わりする可能性もある。
オラノのフィリップ・クノル最高経営責任者(CEO)は、「在庫を減らすには、日本の原発でMOX燃料を燃やすのがもっとも効率的だ」と語った。【朝日新聞】