原子力規制委員会の検討チームは23日、原子力発電所事故での甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤について、原発周辺地域の調剤薬局にも事前配布を認める方針を決めた。これまでは住民が自治体の説明会に参加して受け取る必要があったが、受け取る機会を増やして配布率の向上につなげる。
同日開いた検討チームの会合で了承した。ヨウ素剤は原発の半径5キロ圏内の全住民に事前配布するのが原則だが、現状では行き渡っていない。配布のために自治体が開く説明会は日時や場所が限られ、参加できない住民もいる。説明会に協力する医師らの負担も大きいとして、自治体から配布方法の見直しを要望する声が出ていた。
原子力規制庁が検討チームで示した案では道県が原発周辺地域の医師会や薬剤師会と協議した上で、地域の調剤薬局でもヨウ素剤を配布できるようにする。アレルギーや甲状腺の病気などの理由でヨウ素剤の服用に慎重な判断が必要な住民については、地域の医療機関を受診する仕組みとする。
検討チームは被曝の影響が懸念される子供や妊婦らへの配布に重点を置く方針も了承した。4月をめどに報告書を取りまとめ、規制委は早ければ夏にもヨウ素剤の服用や配布に関する手引きを改正する方針だ。【日本経済新聞】