新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は3日の定例記者会見で、柏崎刈羽原発7号機の再稼働の条件として東京電力に求めている「使用済み核燃料プールの保管量を再稼働までにおおむね80%以下にする」ことについて、再稼働時点での完了までは求めず、計画を立てて輸送作業に着手していれば、条件を満たしたとみなす考えを示した。核燃料の輸送には3カ月程度かかるとされる。早期の再稼働に東電が踏み切る場合を想定し、完了を条件とすることで再稼働が遅れる事態を避けるためとみられる。
現在、7号機のプール(管理容量2572体)には2489体の使用済み核燃料が収められ、貯蔵率は97%に達している。桜井市長は、運転を再開しても使用済み核燃料が出れば、すぐにプールが満杯になるとして2019年11月、東電に対して、貯蔵率の引き下げを求めた。
東電は20年3月、7号機から2号機(貯蔵率71%)に380体を移す「号機間輸送」をすることで、82%まで下げる計画を発表。これを実行しないうちにテロ対策の不備で原子力規制委員会から核燃料の移動を禁じる命令を受けたが、この命令は昨年暮れに解除された。
東電は今月15日に7号機の原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷(そうか)」に着手する予定で、約2カ月間かけて検査や確認作業を行う。この後、7号機のプールから他号機のプールに運ぶ方向で検討を進めている。
輸送は、「キャスク」と呼ばれる金属製の容器に38体を収めて、トレーラーに載せて運ぶ方式で行われる。プールから出し入れするたびに容器の除染などが必要で、1回の輸送には1週間から10日かかる。輸送は原子炉運転中も実施できる。20年の計画のように380体を運ぶには、2~3カ月かかる計算になる。【朝日新聞】