東京電力は28日、再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)について、4月15日に原子炉内に核燃料を装塡(そうてん)すると原子力規制委員会に申請した。再稼働の時期については「未定」とした。昨年末に事実上の運転禁止命令が解除され、再稼働への準備が活発になってきた。
東電は原発構内のプールで保管していた核燃料872体を原子炉に装塡後、原子炉内を検査する。圧力容器からの漏えいがないかや、制御棒を正しく入れられるかなどを確かめる。終了時期は未定という。
柏崎刈羽では6、7号機が新規制基準への適合後、テロ対策の不備が相次ぎ発覚。規制委が2021年4月から23年12月まで核燃料の移動を禁じていた。東電は禁止命令中も7号機の機器や建屋などを検査していた。
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◆国・東京電力へ強い不信感、同意手続きは難航必至
核燃料の移動を禁じた命令の解除から約3カ月、東京電力は7号機の原子炉内に核燃料を入れることになり、再稼働に向けた設備面の準備は最終段階に入った。ただ、地元住民の東電や国の防災対策への不信は強く、再稼働に必要な立地自治体の同意手続きは難航が必至だ。
東電や政府は3月以降、再稼働に向け地元への働き掛けを強める。斎藤健経済産業相が18日に、新潟県の花角英世知事ら立地自治体の首長に電話で同意を要請した。東電も、25日から国際原子力機関(IAEA)の現地調査を受け入れ、テロ対策の改善状況に「お墨付き」を得て、地元の理解につなげたい考えだ。
一方で、1月の能登半島地震を受け、原発事故時の防災対策を巡る県民の不安は強まっている。県議会は22日の本会議で、国に原子力災害対策指針の見直しを求める意見書を全会一致で可決。原発を推進する立場の自民党も賛成した。
◆自民県議でさえ「国の対応、具体性が何一つない」
新潟県内でも液状化による家屋損壊や道路の陥没が起きたことを踏まえ、意見書は「現状の原子力災害対策指針では、住民を安全に避難させることはできない」と厳しく批判した。
ある自民県議は「再稼働への準備は勝手にやればいい」と突き放し、同意に向けた議論については「防災対策の要望に対する国の対応には、具体性が何一つない。判断材料が示されていない」と指摘。不祥事続きの東電に対しても「県民の信頼を失った状況は変わらない。東電だけでは(柏崎刈羽の運転は)だめ」と不信感をあらわにした。
花角知事は、同意の是非を最終的に判断する際は「県民の信を問う」と明言しているが、具体的な方法は明らかにしていない。【東京新聞】