鹿児島県は10日、九州電力川内原発(薩摩川内市)での重大事故を想定した原子力防災訓練を原発30キロ圏内の9市町と実施し、約210機関の約4千人が参加した。1月に起きた能登半島地震では道路網が寸断されたことから避難道路の啓開や代替ルートへの変更なども訓練した。
訓練は、薩摩半島沖を震源とする最大震度7の地震が発生し、川内原発2号機が外部電源を喪失して炉心が損傷し放射性物質が放出されたとの想定で実施。県の原子力防災アプリを使った情報投稿も新たに盛り込んだ。
薩摩川内市寄田地区の住民が「道路に倒木があり通行不能」と投稿すると、陸上自衛隊が出動して倒木を取り除き避難道路を確保した。また同地区では、倒壊した家屋に住民が閉じ込められたという想定で救助訓練も行った。
原発から半径5~30キロ圏の緊急時防護措置準備区域(UPZ)の住民は、指定された圏外の避難所へバスなどで向かい、途中の出水市など3カ所に設けられた避難退域時検査場所へ。県などが放射線測定機器で検査し、被曝(ひばく)の恐れがある人に簡易除染を行った。
川内原発では、重大事故時の拠点である緊急時対策所で職員らが対応を訓練。事故の連絡や被曝した人の搬送にあたり、原子炉格納容器内を冷却するために移動式大容量ポンプ車を稼働させた。【朝日新聞】