東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働をめぐり、能登半島地震を受けて地震・津波対策や避難計画の見直しを求める声が強まっていることについて、同原発が立地する柏崎市の桜井雅浩市長は7日の定例記者会見で、「少し焦点がぶれてきていると心配している」と語った。
同原発に対する事実上の運転禁止命令が解除され、年明けから開かれている原子力規制庁や東電による地元住民への説明会では、避難への懸念が続出。6日にあった県内全市町村の実務担当者による原子力防災の会議でも、地震・津波対策や避難の実効性に多くの質問や意見が出た。
会見で桜井市長は、こうして議論になるのは「仕方のないこと」とする一方、同原発も北陸電力志賀原発(石川県)も「地震で大きな損傷がなかったのは事実だ。(福島第一原発事故後の)新規制基準がしっかり機能し、安全が確保された」と強調。再稼働の議論は現在の安全対策を前提に行われるべきで、避難への不安感とは切り離す必要があるとの見方を示した。
また、柏崎商工会議所などが早期の再稼働を求めて市議会に提出した請願について、「採決の結果は市民の意見の集約という位置づけもできると思う。私が返事をするバックグラウンドになると考えている」と述べ、「地元同意」の是非を決めるにあたり判断の根拠とする考えを示した。【朝日新聞】