中国電力島根原発1号機(松江市)の廃炉完了時期を延期する廃止措置計画の変更について、丸山達也・島根県知事は4日の県議会本会議で、了解すると表明した。中国電から8月に事前了解願の提出を受け、県議会などの意見を踏まえて判断する考えを示していた。中国電は正式に事前了解を受けたあと、原子力規制委員会に変更認可を申請する。
中国電は、使用済み核燃料の搬出先である青森県六ケ所村の再処理工場の完成遅れを理由に、2045年度としていた1号機の廃炉の完了時期を49年度に延期することにし、安全協定に基づいて島根県と松江市に計画変更の事前了解願を出した。
丸山知事は、住民団体の代表らも参加する安全対策協議会、専門家である原子力安全顧問、関係自治体、県議会の意見を聞いて判断する考えを示し、すでに松江市は了解、周辺自治体(島根県出雲市、安来市、雲南市、鳥取県、同県米子市、境港市)や県議会も了承していた。
丸山知事はこの日の本会議で、再処理工場の完成がさらに遅れ、使用済み燃料の搬出が進まないのではないかという懸念など、様々な意見があったことを紹介。その上で「いただいたご意見について、廃止措置を進めることそのものに反対するものではなかったと考えている。1号機のリスクを低減させていく観点からも、安全確保を大前提として廃止措置を着実に前に進めていくことが重要」と述べた。
中国電に対しては、「使用済み燃料の全量搬出・譲り渡しの適切な実施に向けた着実な取り組み」「放射性廃棄物などの保管・管理の適切な実施と確実な処分などの具体的な検討」「地域振興への特段の配慮」などを求めるとした。
報道陣の取材に丸山知事は、「課題はあると思うが、課題の解決と並行して廃炉を進めていく意思表示と受け止めて了解をした」と説明。24年度上期とする再処理工場の完成が遅れた場合、「延期の幅、内容、理由を中国電が精査して、今の計画を見直す必要があると考えるか考えないのか。必要な情報を収集、分析した上で、そんな状況変化があったら我々に説明を求める」とした。【朝日新聞】