東京電力ホールディングス(HD)は20日、福島第1原子力発電所にたまる処理水の3回目の海洋放出を終えた。2023年度の放出は残り1回で年明け以降に開始する見込みだ。
東電によると、放出は20日午後0時1分に終了した。2日に流し始めて7753トンを放出した。23年度の放出予定量は3万1200トンで、これまでの3回で7割に当たる計2万3351トンを流した。
東電は原発周辺で海水に含まれる放射性物質のトリチウム濃度を調べた。国が定めた安全基準を上回るような数値は出なかった。
中国による日本産水産物の禁輸といった課題は残る。岸田文雄首相は16日に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談し、撤回を要求した。両首脳は専門家レベルで科学に立脚した議論をすると申し合わせた。
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出が始まりました。放射性物質トリチウムの処理水1リットルあたり濃度が国の安全基準の40分の1(1500ベクレル)未満であることを確認して放出。政府と東電は風評被害を防ぐため監視データを定期的に公表し、国内外に安全性を示します。周辺国では韓国政府が一定の理解を示す一方、中国は水産物輸入を全面停止するなど反発を強めています。【日本経済新聞】