東京電力福島第1原発事故で避難した双葉郡などの住民が東電に避難慰謝料の支払いを求めた訴訟は、地裁いわき支部(三井大有裁判長)で和解した。原告弁護団が8日、いわき市で開いた記者会見で明らかにした。10月24日付。原告弁護団によると、原発事故を巡る同様の集団訴訟における和解は全国で初めて。
訴訟は福島原発避難者訴訟の第2陣のうち、事故当時浜通りを中心とした9市町村に暮らしていた住民が訴えたもの。避難生活を強いられたことに対して1人当たり月額50万円、ふるさと喪失に対して1人当たり2千万円の慰謝料の支払いを求めていた。
和解には原告28世帯84人が応じた。東電側の和解提案をきっかけに、早期救済を目指す原告側との交渉が進んだ。和解条項には慰謝料の支払いのほか、東電による原告への謝罪や「地域の再生および復興に向けた取り組み」が盛り込まれた。
東電側の条件により、避難者へ支払われる賠償金の金額は公開されなかった。原告側は救済対象を広げた国の賠償基準「中間指針第5次追補」を基に設定した賠償額を提示したという。
東電は福島民友新聞社の取材に「引き続き、早期解決を目指して真摯(しんし)に対応していきたい」とコメントした。
和解を選ばなかった原告2世帯3人について、同支部は8日、判決を言い渡した。三井裁判長は既に支払った慰謝料を差し引いて、避難指示解除準備区域の住民に対して1人当たり280万円、緊急時避難準備区域の住民に対して1人当たり120万円の支払いを東電に命じた。原告側、被告側ともに判決内容を精査し、今後の対応を決める方針だ。
【福島民友新聞】