福井県内の原子力発電所から出る使用済み核燃料の県外搬出に向けたロードマップを関西電力が示したことを受け、杉本達治知事が近く、関電の計画を容認することが分かった。杉本知事は13日にも西村康稔経済産業相と県内で会談し、県に対する国の支援を確認した上で意思表明する見通し。
福井県は搬出先の中間貯蔵施設を県外に確保するよう求めており、関電は2023年末までに候補地を確定できなければ、稼働から40年超の原発3基を停止すると約束していた。知事が関電の計画に同意すれば、年明け以降も稼働が継続されることになる。
関電は今年6月、高浜原発の使用済み核燃料200トンを研究用にフランスへ搬出する計画を示し、これで「約束は果たされた」と主張した。しかし現在たまっている使用済み核燃料の量のごく一部に過ぎないため、県は詳しい説明を要求。関電は今月10日、県外の中間貯蔵施設を30年ごろから操業開始することや、県内の原発敷地内で県外搬出前に一時保管する「乾式貯蔵施設」の設置を検討することを新たに提示し、理解を求めた。
杉本知事は10日の県議会全員協議会で「(関電の説明は)これまでの回答より一歩前進している」と前向きに評価。ある県議は「県議会もまとまり、地元からも反対の声はない。断る理由がない」と話す。
ただ、関電のロードマップは中間貯蔵施設の候補地や乾式貯蔵施設の設置場所を示さず具体性が乏しいことから、原発立地自治体の住民からは「約束を果たしたと言える内容ではない」などと反対の声も出ている。【毎日新聞】