県内の原子力発電所から出た使用済み核燃料をめぐって、関西電力がフランスへの搬出などを進める工程表を示したことについて、杉本知事は、「一定の回答があった」と述べ、近く、国と関西電力に対し、県の意見を説明する考えを明らかにしました。
関西電力は、県内の原発の使用済み核燃料を県外に搬出するための中間貯蔵施設の候補地を年内に確定させるとしていて、ことし6月、その一部をフランスで再処理する計画を示しましたが、県はあらためて関西電力と国に説明を求めていました。
これを受けて10日、関西電力の水田仁原子力事業本部長が、資源エネルギー庁の担当者と県庁を訪れ、フランスへの搬出を2027年度から始めるほか、国内の中間貯蔵施設を2030年ごろに操業させることなどを盛り込んだ工程表を説明しました。
この工程表について、10日臨時で開かれた県議会で、杉本知事は「一定の回答があったと受け止めている」と述べました。
そのうえで、国も責任を持って県外への十分な搬出量を確保するための検討がされているなどとして、近く、西村経済産業大臣と関西電力の森望社長に対し、県の意見を説明する考えを明らかにしました。
また、県は、関西電力と国の説明のあと、原発が立地する自治体とオンラインで会議を行い、市長や町長から、工程表にもとづいて発電所の安定運転に必要な核燃料の搬出を進めることや、立地自治体の声を聞いて、さらなる地域振興に取り組むことが必要だといった意見が寄せられたと報告しました。
これに対し、出席した議員からは、中間貯蔵施設の候補地を年内に確定するとした関西電力の約束が果たされたのかをただしたり、核燃料が確実に搬出されるよう国の主体的な関与を求めたりする意見が相次ぎました。
県議会のあと、記者団の取材に応じた杉本知事は、国と関西電力の追加の説明に対し、「関西電力として、県内の使用済み核燃料の貯蔵容量を増やさないという覚悟を示したことは前進であり、国も六ヶ所村の再処理工場の竣工に向けて、総力を挙げて取り組む覚悟を示した。一歩前進だと思う」と評価しました。
そして、近く、西村経済産業大臣と関西電力の森望社長と会談したい考えを示した上で、「六ヶ所村の再処理工場については、竣工だけでなく運用も含めて円滑に進めてもらい、原発を立地する地域の振興も国全体で考え方を示してもらいたい。こうした点について、西村大臣や森社長の回答を踏まえて、県として、計画を受け入れるか全体の判断をしていきたい」と述べました。
関西電力と国による使用済み核燃料の搬出に関しての県側への説明をうけて、高浜原子力発電所の立地する高浜町の野瀬町長は「使用済み燃料が搬出されるということで、以前より一定の評価をしていた。今回、国が前面に立つということでより肉付けされた印象で十分評価に値する」と話していました。
また、関西電力が原発の敷地内で乾式貯蔵施設の設置を検討する方針を示したことについては、「実際に設置するかどうかは別にして施設の設置をオプションとして持っておくことは必要だ」と話していました。
【NHK】