東京電力は11日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で大量に保管する汚染水を浄化処理した後の水について、1回目に計画した約7800トンの海洋放出を終えたと発表した。設備のトラブルはなく、放出された処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度に異常はなかった。2回目の放出開始は設備の点検後の9月末にも予定している。
◆放出量は7788トン 年度内に計3万1200トンを計画
放出は8月24日午後1時3分に始まり、今月10日午後にタンクからの移送を終え、11日に配管内に残った処理水を真水で流して午後0時15分に完了した。放出量は7788トンだった。
2023年度は4回に分けて約3万1200トンを放出する計画。汚染水の発生と浄化処理が続いているため、年度内に減らせる処理水は約1万1200トンの見通し。
東電は、汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS=アルプス)で取り除けないトリチウムの濃度を、国の排水基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満にするため、処理水を大量の海水と混ぜ、海底トンネルを通じて沖合約1キロから放出した。
東電、環境省、水産庁、福島県は、原発周辺の海水や魚に含まれるトリチウムの濃度をモニタリング(監視)しており、測定結果のほとんどは機器で測定できる下限値未満となっている。東電は放出口から200メートルの1地点で1リットル当たり10ベクレルを検出。これは放出後の最大値だが「環境に問題はない」としている。
各機関のモニタリング結果は、東電ホームページの「処理水ポータルサイト」から見ることができる。【東京新聞】