自民党の外交部会は30日、東京電力福島第1原発の処理水放出を巡る中国の反応について議論した。日本国内に嫌がらせ電話が相次いでいることなどに対し、政府に毅然とした対応を求める一方、日本産水産物の輸入停止措置を世界貿易機関(WTO)に提訴すべきかどうかは意見が分かれた。
部会長の堀井巌参院議員によると、一部議員がWTOへの提訴を求る中、外務省がメリットとデメリットを説明。議員の間からも「提訴すると良いこと、提訴しないとひよっている、ということではない。外交戦略上、最大限有益な方策を考えるべき」などの意見が出たという。
高市早苗経済安全保障相は29日の閣議後会見で、オーストラリアが過去に中国をWTOに提訴したことに触れ、「何らかの形での対抗措置を検討しておく段階に入っていると思う」と述べていた。
このほか部会では、日本の主な対中輸出水産物のホタテについて、中国で加工して日本や欧米に再輸出する現状を、日本国内で加工する仕組みに転換すべきなどとする意見も出た。【ロイター】