関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)で2004年、作業員11人が死傷した高温蒸気噴出事故から19年を迎えた9日、関電は追悼式典「安全の誓い」を同原発構内で開いた。森望社長は「事故の反省と教訓を決して風化させることなく、安全の実績を一つひとつ積み重ねていく」と誓いの言葉を読んだ。
式典には森社長や水田仁・原子力事業本部長ら45人が参加。事故発生時刻の午後3時22分、構内の石碑の前で黙禱(もくとう)し、献花台に花を手向けた。森社長は協力会社員への要請や社員への訓示で「原子力を将来にわたり活用していく」と決意を語り、そのためにもたゆまぬ安全性向上に努めてほしい、と呼びかけた。
事故は04年8月9日に発生した。タービン建屋内の放射性物質を含まない2次系配管が減肉により破損。約140度の熱水と蒸気が噴出し、協力会社の作業員5人が亡くなり、6人が重傷を負った。
式典後、森社長は取材に応じ、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設を山口県上関町で中国電力と共に進める計画を表明したことについて、「調査の申し入れをした段階。これをもって(使用済み核燃料を県外搬出するとした)福井県との約束を果たしたという扱いができるとは、全然そういうステージにないと思っている。それ以外も含めて、必要容量の確保について、あらゆる可能性を追い求めたい」と話した。【朝日新聞】