東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)から高濃度汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムが残る水を、国や東電が海洋放出をする方針について、西村康稔経済産業相が一日、茨城県水戸市を訪れ県内漁業者と意見交換した。茨城沿海地区漁業協同組合連合会が二日に明らかにした。
連合会の担当者によると意見交換は経産省側の提案で行われ、一日午後三時から約一時間、非公開で行われた。連合会側は飛田正美会長や理事ら約十人が出席した。
西村氏は七月四日に国際原子力機関(IAEA)が日本政府に提出して公表した処理水の海洋放出が「人及び環境に与える放射線の影響は無視できる」などとした包括報告書について説明。「海洋放出は必要で認めてほしい」と求めた。
これに対し飛田会長は「海洋放出に反対であることに変わりはない。国として風評被害対策に取り組んでほしい」と改めて同意しない意向を明確に表明した。理事らからも「漁業を継続できるようにして」「香港政府が放出後(福島県や茨城県など)十都県の水産物輸入禁止を求めている」などの発言があったという。
西村氏がこの問題で来県して漁業者に面会するのは六月十日以来二度目。【東京新聞】