東京電力福島第1原発事故で避難した浪江町の住民が国と東電に慰謝料など約88億5千万円の損害賠償を求めた集団訴訟の第19回口頭弁論は28日、福島地裁(小川理佳裁判長)で開かれ、結審した。判決は来年3月14日午後3時から。
同訴訟の原告は、町民309世帯721人。町民の7割超が東電に福島第1原発事故の慰謝料増額を求めて申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR)が決裂したことを受け2018年11月、福島地裁に提訴した。
この日の意見陳述では、浪江町職員の50代女性が「東電は集団ADRの和解を受け入れて、もっと早期に賠償するべきだった。裁判所には事実を真摯(しんし)に受け止めてもらい、適正な判断をしてほしい」と訴えた。このほか弁護団は同日までに、同訴訟の第2陣として町民9世帯14人が福島地裁に追加提訴したと明らかにした。
同訴訟は、国と東電に地域のコミュニティー破壊や被ばくによる健康被害が生じる不安などへの精神的損害賠償の支払いを求めている。東電にはADR和解案拒否による精神的損害の慰謝料も求めている。
【福島民友新聞】