関西電力が福井県に示した使用済み核燃料の「県外搬出」計画について、関電は19日、美浜原発が立地する美浜町議会で説明をした。電気事業連合会(電事連)がフランスで行う実証研究に乗る形で、それを関電は「県外搬出の約束を果たした」と一方的に主張しているが、議員からは「詭弁(きべん)だ」「苦肉の策。理解できない」などの批判が相次いだ。
関電は、県内の原発から出る使用済み核燃料を、県外に搬出する中間貯蔵施設の計画地を年内に提示することを県と約束していた。今回示したのが、研究用として高浜原発(高浜町)の約200トン(420体)をフランスに搬出する計画だった。
この日の説明は、町議会の原子力発電所特別委員会が関電に説明を求めて実現。出席した藤井大士・原子燃料サイクル室長は「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義があり、約束はひとまず果たされた」と説明した。
議員からは批判が相次いだ。「関電が県内に保有する使用済み核燃料の一部に過ぎず、その場しのぎの詭弁にすぎない。福井県政や県民を愚弄(ぐろう)している」(河本猛議員)、「非常に苦肉の策。一般の人は理解できない。関電の信頼にプラスにならない」(高橋修議員)。
また、今回の計画は、美浜原発の搬出分が含まれていない。複数の議員からは、燃料を金属製の専用容器に入れ、原発敷地内で保管する「乾式貯蔵」の提案が出た。竹仲良広議員は「美浜の使用済み核燃料はいつ出るのか、計画を示してほしい。中間貯蔵の県外候補地を決めるのが無理なら、安全性の高いサイト内の乾式貯蔵を早期にできないのか」と質問した。
藤井室長は「引き続き原子力発電所の将来の安定運転に必要な使用済み核燃料の搬出容量を確保するため、あらゆる可能性を追求したい」と述べるにとどまった。【朝日新聞】