原子力規制庁が、九州電力川内原発(薩摩川内市)の火災防護について不備があると指摘していたことが22日、分かった。ケーブルの一部で防護対策が不十分だった。同庁は安全面に及ぼす影響は小さいとみて、原発の運転停止は求めない方針。
川内原発では2020年度にも、同庁から2系統のケーブルに隔壁を設けたり、十分離したりするなど必要な対策をしていなかったと指摘され、改善策を施している。
同庁によると、今回不備があったのはケーブルを収容する電線管。1号機約540メートル、2号機約740メートルで、審査基準に基づく耐火壁や感知自動消火設備などの対策が取られていなかった。九電は対策工事を終えるまで、電線管の周囲に可燃物を置かないなどの処置を講じる。
21年度の関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)に対する原子力規制検査で、火災防護の不備が発覚。他の原発も確認したところ、川内原発でも見つかった。23年3月の原子力規制委員会で報告された。
市民団体「原発ゼロをめざす鹿児島県民の会」は5月22日、九電に対し、川内原発の運転を止めて火災防護の工事を行うことなどを求める要請書を提出した。【南日本新聞】