関西電力は19日、送配電子会社を通じて新電力事業者の顧客情報を不正閲覧していた問題で、2022年12月までの約3年間に、社員62人が家庭向け契約の顧客情報5万4774件を営業活動に利用していたことを確認したと発表した。うち3911件は関電に契約が切り替わっており、39人が違法性を認識していたという。
関電はこれまで、22年4~12月に社員35人が4332件を営業活動のために閲覧し、47件の契約を獲得したと公表していた。19年11月まで遡って調査した結果、関わった社員数は約2倍、閲覧件数は約12倍に増えた。19年11月~22年12月の不正閲覧は全体で15万3095件で、3分の1がオール電化などの契約獲得に使われたことになる。残りは主に顧客からの問い合わせへの対応だった。
この期間に不正閲覧に関わった係長級以下511人を対象にしたアンケートでは、回答した456人中、150人が電気事業法に抵触する可能性があると認識していた。同法は公正な競争環境を確保するため、電力会社が新電力の顧客情報を送配電子会社と共有することを禁じている。うち57人は同僚らに閲覧方法を伝えており、不正が組織内で広がった。
また、関電は19日、法人向けでも昨年4月~今年1月、社員ら2010人が新電力の顧客情報1万940件を不正閲覧していたと発表した。いずれも営業目的ではなかったとしている。【読売新聞】