東京電力福島第1原発の廃炉に関する技術的課題を検討する原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の廃炉等技術委員会(近藤駿介委員長)は31日、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の大規模取り出しの方法を検討する「燃料デブリ取り出し工法評価小委員会」を設置することを決めた。2024年春ごろをめどに、取り出し方法の決定に必要な技術的成立性などを評価する。
福島第1原発1~3号機では、事故で生じた燃料デブリ(推計約880トン)が現在も手つかずのまま原子炉格納容器内に残され、強い放射線を出している。
国や東電は、23年度後半に2号機で少量(数グラム程度)を取り出した後、徐々に規模を拡大、30年代に1~3号機で大規模取り出しに入る予定だ。2号機での取り出しは、空気中で作業する「気中工法」を採用するが、3号機を念頭に検討を進める大規模取り出しの方法はまだ決まっていない。
2月にも新設する予定の小委は、更田豊志(ふけた・とよし)・前原子力規制委員長や、国内外の原子力や土木の専門家ら10人ほどで構成する予定だ。原則月1回、候補となる工法を議論し、節目ごとに廃炉等技術委員会へ報告する。小委の議事録や配布資料は非公開だが、議事要旨や、同委員会への報告内容は公開する。
大規模取り出しの方法を巡っては、NDFが昨秋、「技術戦略プラン」の中で、気中工法などに加えて、新たな工法として、原子炉建屋全体を鉄製の構造物で囲って水を張り、水中で燃料デブリを取り出す「船殻(せんこく)工法」を選択肢の一つに入れた。【毎日新聞】