2011年の東京電力福島第一原発事故を教訓に定められた、原発の運転期間を原則40年、最長60年とする規制ルールが変わろうとしている。60年超運転が可能になる一方、運転開始30年から10年ごとに安全審査をする方向だ。現行ルールが変わることについて、前原子力規制委員長、更田豊志氏(65)に聞いた。
――規制委がまとめた原発の新しい安全規制ルールの骨子案についてどのように評価されますか。
「基本的に制度として従来のものから大きく変わるわけではないと受け止めています」
――原子炉等規制法(炉規法)から原発の運転期間を原則40年最長60年とする規定がなくなり、60年超に向けた審査が想定されます。この制度で対応できるのでしょうか。
「従来の運転期間の制度は、規制側の要請で決まったものではなくて、国会での議論で決まったもの。(運転期間は)資源エネルギー庁の検討によって延びていく(可能性がある)が、規制の役割は変わらない。規制当局としてしなければならないことが変わったわけでもありません」
「強調しておきたいのは、例えば10年間運転したいという原発に対して確認をしようとした時、規制当局として確認するのは(原発が)何歳であるかというよりも、その状態なわけですよね。50歳だから危険だっていうわけじゃなくて、40歳だって危険なものがあるだろうし、50歳を超えていたって状態が良くて大丈夫ということもあるだろうから、規制の確認というのは何年だからという経年で決めるわけではなくて、状態で決めるものです。そういった意味で、規制の仕事が大きく変わるわけではありません」【朝日新聞】