東京電力は18日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出地点となる、沖合約1キロの海底に放出口を設置した。
放出口は鉄筋コンクリート製で長さ12メートル、幅9メートル、高さ10メートル。海底トンネルとつながり、上部から処理水を海中へ放出する。
この日は、午前10時50分に作業を開始。起重機船と呼ばれる大型船で放出口をワイヤでつり、海底に沈めた。放出口を入れる海底の穴は、7月に掘り終わっていた。今後、4カ月ほどかけてコンクリートなどで放出口の周囲を埋め戻す。
放出口の設置作業は波が高いとできないため、条件に合う海の状態になるまで着工から3カ月以上かかった。
東電は放射性物質トリチウムが残る処理水に大量の海水を混ぜ、トリチウム濃度を国の排水基準の40分の1未満に薄めた上で、海底トンネルを通じて沖合約1キロに放出する計画。トンネルは17日時点で602メートルまで掘り進んだ。
東電は来年春以降の放出開始を目指すが、漁業関係者を中心に反対の声は根強く、実際に放出できるかは分からない。【東京新聞】