国と東京電力は三十日、福島第一原発の汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムが残る水の海洋放出に関する説明会を水戸市内のホテルで開いた。説明会は昨年十一月以来。出席した漁業団体代表者らは重ねて「反対」を表明し、埋まらない溝が改めて浮き彫りになった。
経済産業省の松永明参与と東電の高原一嘉・福島復興本社代表が、風評被害対策や水産業支援策などについて説明。高原氏は「風評の影響を最大限抑制すべく対策した上で、なお風評被害が発生した場合、損害は迅速かつ適切に賠償させていただきたい」と述べ、年内にも具体的な賠償基準を公表するとした。
質疑応答で、茨城沿海地区漁業協同組合連合会が「(海洋放出に向けた)工事は既に行っているが、これは放出するということではないことを明確にしていただきたい」と要望したが、高原氏は「漁業関係者の理解なくして放出はしない」と従来の見解を繰り返すにとどめた。
説明会後、沿海地区漁連の飛田正美会長は「説明を聞いても断固反対の考えに変わりはない」と報道陣に強調した。【東京新聞】